「大人になるっておもしろい?」(清水真砂子)①

大人になるっておもしろい?うん、だんぜん!!

「大人になるっておもしろい?」
 (清水真砂子)岩波ジュニア新書

子どもたちに薦められる本を
探して出会った本書、
薦める以前に、
自分が十分に考えさせられました。
10代であろう知人のKさんに
宛てた手紙の形で、著者は
大人になることの
本当の意味を問いかけます。

第1信 「かわいい」を疑ってみない?
「力ある者はその力による支配を
 脅かされる心配のないものを
 『カワイイ』と
 呼ぶのではないでしょうか。」

私自身、カワイイという言葉に潜む
何かが気になり、
その言葉を嫌っていたのですが、
漠然と感じていた
不快感の正体を理解できました。

第2信 怒れ!怒れ!怒れ!
「穏やかとはなんなのか。
 穏やかな物言いができないのは、
 すべてできない人のせいなのか。
 激しいもの言いを封じるとは
 どういうことか。」

声を荒げることは人格的に
未熟であるようにとらえられます。
教員は今、怒りの感情を
持たないようにする研修を
受けさせられています。
それが果たして人間的なのか?
喜怒哀楽の喜と楽だけが正しいのか?
改めて考えるきっかけとなりました。

第3信 ひとりでいるっていけないこと?
「ひとりでいるときのほうが、
 みんなといるときより
 ずっとたくさんのことばが
 自分の中で飛び交っている。」

私などは、学級の中で、
ひとりぽつんといる子どもに対して、
つい声をかけてしまいます。
それ自体は大切なことだと思うし、
これからもそうしていくのですが、
孤独の中にも豊かさは
存在していることを
忘れてはならないのでしょう。
私もどちらかといえば
一人でいるほうが好きですから。

第13信まで、
すべて取り上げたいのですが、
この辺にしておきます。
世の中の常識や、
正しい、望ましいと
いわれていることに対して、
疑ってかかるべきであるということを
再確認しました。
自分の在り方を
自分の頭と心でじっくり考える。
それがしっかりとした
個の確立につながるはずです。

みんなと同じである必要はない、
一人一人はみなちがうのだということ。
このよく言われていることを、
これほどまで明確に解説した本に
これまで出会ったことは
ありませんでした。

あとがきの中で、著者は
書名にもなっている問いに答えます。
「大人になるっておもしろい?
 うん、だんぜん!!」
自分自身を深く見つめ始めた
中学生、高校生、
そして自分の立ち位置に
不安を感じ始めた大人のアナタに
薦めたい一冊です。

※参考までに、各章の小見出しを。
 第1信 「かわいい」を疑ってみない?
 第2信 怒れ!怒れ!怒れ!
 第3信 ひとりでいるって
     いけないこと?
 第4信 自信ってなんだろう?
 第5信 明るすぎる渋谷の街で
     考えたこと
 第6信 ルールとモラルがぶつかったら
 第7信 質問するってめんどくさい?
 第8信 心の明け渡しを
     していませんか?
 第9信 意気っていけないこと?
 第10信 家族ってなんだろう?
 第11信 世界は広く、そして
     人はなんてゆたかなのだろう
 第12信 働かないでいるって、
     そんなにダメなこと?
 第13信 斜に構えるってかっこいい?

(2019.4.22)

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